イギリスと言えば「エール」だ。
世界のビール市場のシェアは8割はピルスナーが占めており、個性的なビールの宝庫であるベルギーですら7割がピルスナーだ。
そんな中、イギリスは現代でもエールとラガーの消費の割合が50:50である。
イギリスはドイツ、ベルギーと並んで多くのビアスタイルを生み出しており、伝統的なビール大国と言える。だが島国なためか、ビールの歴史は少し独特で若干他のヨーロッパとは違う歩み方をしてきた。
ホップが初めて輸入されたのが15世紀と遅く(ドイツでは1300年頃から一般的に使われていた)しかも定着しなかった。
当時のイギリスではハーブをブレンドした「グルート」を使ったグルートビールが主流で、そのグルートの利権的な色々もありホップが定着しなかったそうだ。ようやくホップが本格的に使われ始めたのは17世紀になってからだった。
ラガーを造り出したのも少し遅く、ピルスナー誕生から40年後の1882年から。しかもまた定着しなかった。当時既にヨーロッパではラガーのほうが主流になっていたのだが、イギリス国内ではエールの人気が高くラガーは普及しなかった。
第二次世界大戦後、ようやく本格的にラガーを造り出したが、今に至っても50%のシェアしか得られず、どうもイギリス人のエール好きは筋金入りのようである。
またイギリスにはパブでカスクコンディションを行うリアルエールというエールがあり、イギリスのビール文化を象徴するものとなっている。カスクコンディションとは樽の中で二次発酵を行い熟成させる事で、樽はパブのセラーで保管されパブのオーナー自らがコンディショニングを行い飲み頃を判断して開栓する。一時期下火になっていたが「CAMRA」という団体の活動により復活した。
上面発酵